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IFA2014ではFidelioの新たな動きにも注目

<IFA GPC>フィリップス初DJヘッドホン「A5-PRO」の魅力 ー WOOXのCEO・Vaartjes氏インタビュー

公開日 2014/04/26 12:23 山本 敦
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IFA2014グローバル・プレスカンファレンスの開催2日目には、イベントのスポンサー企業によるプロダクトセミナーが開催された。フィリップスのグループ企業であるWOOX InnovationsからはCEOのWiebo Vaartjes氏が出席。ヘッドホン新製品「A5-PRO」の魅力などをインタビューした。


WOOX InnovationsのCEO Wiebo Vaartjes氏にインタビューした
“フィリップス”ブランドのオーディオ製品を開発・販売するWOOX

WOOX(ウークス) Innovationsは、2013年にフィリップス本社のAudio and Video Entertainment社が分社化されて誕生した。現在はフィリップスブランドのヘッドホンやスピーカーなどオーディオ製品のほかに、ホームシアターシステム、メディアプレーヤー、スマートフォンアクセサリーやバッテリーなどカテゴリーの製品について、デザインから製造、販売、マーケティングをグローバルに展開している。

WOOX Innovationsが扱うフィリップスのオーディオ・ビジュアル&コネクティビティ製品のフィールド

フィリップスブランドの各製品分野でトップクラスのセールスを記録する

同社がフィリップスから分社化された背景についてVaartjes氏は「フィリップスから独立することで、製品開発の意志決定を加速化し、コンシューマーニーズへの丁寧なリーチを実現することが大きな狙い」と説明する。現在はフィリップス本社が株式の100%を保有するが、将来はフィリップス以外の企業とのパートナーシップ展開も視野に入れているという。また、フィリップスブランドの製品以外にも、「新しいコンシューマーブランドをWOOX Innovationsから立ち上げるというストーリーも考えられないことではない」という。

ヘッドクオーターは中国・香港に構えるほか、開発拠点をベルギーのルーベンと、シンガポール、中国の深センに置く。なお企業名であるWOOXは、フィリップスが今から10年以上前にスピーカー向けの音質向上技術として発表し、現在まで製品に採用してきた「wOOx」から取ったもので、ウーファーユニットのストロークを深くして低音再生を強化する「Woofer+Extended=WOOX」という意味合いに由来している。

WOOXがグローバルに展開する開発拠点、マーケティング・セールス部門の拠点


フィリップス初のDJヘッドホン「A5-PRO」

今回のカンファレンスでは、3月に欧州で発売されたばかりのヘッドホン「A5-PRO」が披露された。「フィリップスにはこれまで“DJスタイル”を意識したモデルはあったが、本格的なプロフェッショナルDJ用として開発したヘッドホンはこれが初めて」(Vaartjes氏)という本機は、オランダ出身のDJ、Armin van Burren氏が開発をプロデュースしている。

フィリップス初のDJヘッドホン「A5-PRO」

アルミ製のハウジングを採用。L/Rの文字が大きくレイアウトされている


専用ポーチや交換イヤーパッドが付属する

ヘッドバンドにPHILIPSのロゴマークを配置
Burren氏がフィリップスのオーディオ製品とコラボレーションする機会は、昨年のIFA2013で発表(関連ニュース)したDJコントローラー内蔵の一体型オーディオシステム「M1X-DJ」以来。今回も音質やデザインをはじめ、設計や機能性など製品開発の広範な部分にBurren氏のアドバイスが採り入れられた。


世界的に活躍するDJのArmin van Burren氏が開発をプロデュースした
本体には50mmの大口径ドライバーを搭載。ハウジングにはアルミ製の密閉型機構を採用する。DJプレイでの機能性を追求した本体はイヤーカップに90度スイーベル機構を設け、本体の耐久性自体も高めた。ケーブルは片出しタイプで、本体ハウジングの左右どちら側にも着脱ができる。また持ち運びにも便利なよう本体はコンパクトに折りたためる。イヤーパッドを簡単に取り外すことができるのも特徴で、オンイヤータイプとオーバーイヤータイプの交換パッドが付属する。価格は299ユーロ。

ケーブルは着脱式で、左右のどちら側にも接続ができる

イヤーパッドはオンイヤー/オーバーイヤーのものが付属している


イヤーパッドの交換が簡単にできる

カールコードの付属ケーブルは3.5mmミニ端子を採用
会場で実機のサウンドを試聴する機会も得た。iPod touchでPerfumeのアルバム「GAME」からタイトル曲の『GAME』を聴いた。音質はやはり重低音にインパクトを置いている印象。側圧も少し強めにかけて密閉性を高め、低域再生の力強さを高めている。曲の冒頭からどっしりとして力強く、タイトなボリュームのベース音を聴かせる。中高域は音像がクリアで付帯音が少なく、特に高域のサウンドは細かな音をきっちりと拾い上げながら、心地良い透明感も味わえる。ボーカルもセンターにぴしっと定位してエネルギー感をしっかりと打ち出してくるので、ロックやポップス系のサウンドにもフィットするだろう。

本機を装着したところ

本機を開発した背景をVaartjes氏に訊ねた。「フィリップスのブランドから本格的なDJ用ヘッドホンを出したいという思いは、ゴールデンイヤーをはじめとするフィリップスのスタッフたちが長い間持ち続けていた。世界的に活躍するアルミンとは“ハイクオリティな音と機能性を持つヘッドホンを一緒に追求したい”という考えが一致して、今から約1年半前から本機の開発をスタートさせた。“より多くの音楽ファンに楽しんでもらいたい”というアルミンの思いからも、本機に“アルミンモデル”としてアーティストシグネチャーを付けていないことも特徴だ。ハイクオリティな音質、機能性の高さにこだわる日本のヘッドホンファンにも、これからぜひ紹介する機会をつくりたいと考えている」(Vaartjes氏)


FidelioシリーズのBluetoothコンポ「Fidelio E5」もアピール
− 9月のIFAへの期待が高まる


フィリップスのオーディオ製品には、エリートシリーズである「Fidelio」が存在する。同シリーズは「音質だけでなく、デザインやプロダクトとしてのトータルな価値にこだわったフラグシップシリーズ」とVaartjes氏は位置づける。

日本ではFidelioシリーズのヘッドホン・イヤホン、ワイヤレススピーカーなどがお馴染みだが、欧州をはじめとする海外ではHi-Fiクオリティのワイヤレス・サラウンドシステムにも力を入れて展開している。


昨年発売された「Fidelio E5」シリーズの展示
グローバルプレスカンファレンスの会場に展示された「Fidelio E5」シリーズは、高さ40cmのメインスピーカーに2基のスピーカーをドッキングさせる着脱機構を採用するスタイリッシュなワイヤレス・サラウンドシステム。トップのコンパクトなスピーカーを取り外してサラウンドスピーカーとして試聴位置の背面に置くことができるほか、通常のステレオ再生も楽しめる。

apt-X/AACによるBluetoothストリーミングに対応したほか、NFC機能もサポート。ワイヤレスサブウーファーもセットになる。Vaartjes氏によれば、ステレオ/サラウンドを自在に切り替えて楽しめるアイデアなどを盛り込んだ、Fidelioのホームシアターシステムのコンセプトを“Surround On Demand”としてアピールしているという。

Vaartjes氏は、フィリップスブランドのヘッドホン・イヤホンは、いま世界で最も多くの台数を売り上げていると語る。「現在、WOOXでは自社の販売拠点にパートナーであるディストリビューターのネットワークを加えて、世界で約100を超える地域で製品を展開している。販売スケールのイメージは、例えば私がいま5秒数えるうちに、世界のどこかで5台の製品が売れているスピード感だ」と説明する。

毎年IFAに大規模なブースを出展するフィリップスの会場には、今年もFidelioシリーズをはじめとした数多くの注目製品が揃うはずだ。秋にはどんな新製品が計画されているのだろうか。

「現時点でまだ詳しいことは話せないが、かつてIFAを舞台に“Fidelio X1”や“Fidelio L2”など新製品を発表してきたように、今年もエキサイティングなニュースを届けたいと思っている。私は今年もプレスカンファレンスに登壇して、フィリップスブランドのオーディオ製品に関する戦略をスピーチで紹介する予定。既に日程も決まっているので、これから最終的なプレゼンテーションの内容を詰めて、皆様に魅力的な製品の詳細をお知らせできるようにしたい」(Vaartjes氏)

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